こんにちは、小学校教員の「きんみょ先生」です。
前回の記事では、子どもがスポーツ少年団やクラブチームに入ることで得られる「4つの大きなメリット(社会性や折れない心など)」についてお話ししました。
スポーツは、子どもの心と身体を劇的に成長させる素晴らしい機会です。
しかし、その素晴らしい効果を最大限に活かすためには、一つだけ絶対に譲れない前提があります。それは、「子どもが身を置くチームの環境が良いこと」です。
新学期や季節の変わり目になると、保護者のみなさんは「家から一番近いから」「仲の良い友達が通っているから」といった理由で、なんとなくチームを決めてしまいがちです。
ですが、学校現場(学級経営や生徒指導)で子どもたちと向き合う中で、私はスポーツチームの「環境」が子どもの人格形成に与える影響の大きさに、強い危機感を抱くことがあります。
今回は、教員としての実感、そして過去に中学校でスポーツ指導(部活顧問)にあたってきた経験から、前回のメリットを台無しにしないための「チーム選びの視点」をお話しします。
■ 学級現場で起こっている「言葉や態度の荒れ」のリアル
私の担任する学級でも、ある時期から急に言葉遣いが荒くなったり、友達を激しく煽ったりするようになる子がいます。
詳しく話を聞いて様子を観察していると、特定のスポーツ少年団やクラブチームに通い始めた時期と重なっていることが少なくありません。
・友達の失敗に対して「何やってんだよ!」「下手くそ!」と暴言を吐く
・何事も「勝ち負け」や「上手いか下手か」で人を判断するようになる
・人をバカにしたり、煽ったりしてトラブルを起こしてしまう
家庭や学校でどれだけ「相手の気持ちを考えよう」と指導していても、週に何日も過ごすスポーツチームの言語環境が悪いと、子どもはあっという間にその悪影響を受けてしまいます。
保護者の方に相談してみると、「チームの上が上手い子たちや指導者の雰囲気がちょっと荒く、そこから影響を受けているのかもしれません……」とおっしゃることがあります。
■ なぜスポーツの現場で「悪影響」が伝染しやすいのか?
スポーツの世界は、基本的に「技能が高い子(上手い子)」が評価され、脚光を浴びる世界です。
そして子どもたちは、運動ができて格好良い「上手い子」に強い憧れを抱きます。
ここに大きな落とし穴があります。
もし、チームで一番上手い子が日常的に暴言を吐いていたり、仲間のミスを過度に責め立てたりしていたらどうでしょうか。
憧れを持っている周りの子どもたちは、「上手い人がやっているんだから、これがカッコいいんだ」「スポーツではこういう暴言を言ってもいいんだ」と勘違いし、真似をし始めてしまいます。
これを止めることができるのは、現場にいる「指導者」しかいません。
しかし、指導者自身が「勝つこと」だけに囚われている勝利至上主義の場合、暴言や煽りを注意せず放置したり、最悪の場合は指導者自らが子どもに対して暴言を吐いて追い詰めたりしているケースすらあります。
技能の高さと人間性の高さはイコールではありません。
どんなに技術が高くても、人を傷つける言動を容認する環境に身を置くことは、子どもの健全な心を育む上で非常に危険だと感じています。
■ 中学顧問の経験から感じる「スポーツを通じて本当に学ぶべきこと」
私自身、かつて中学校で運動部の顧問として子どもたちの指導にあたっていた時期があります。
もちろん試合で勝つことや、技術が上達する喜びを味わうことはスポーツの醍醐味です。勝利を目指して全力で努力する経験は、子どもを大きく成長させます。
しかし、最も大切なのは「勝利」そのものではなく、「勝利を目指す過程で培われる人格的な成長」です。
・仲間と協力し、互いの失敗をカバーし合う優しさ
・相手をリスペクトし、ルールを守るフェアプレーの精神
・自分の弱さと向き合い、コツコツと努力を続ける忍耐力
これらを学べないスポーツの現場であれば、どれだけ試合で勝てたとしても、教育的な価値は半減してしまいます。
■ チームを選ぶ前に、親として考えてほしいこと
少年団やクラブチームは、家庭や学校に並ぶ「子どもの人格を形成する第3の居場所」です。
だからこそ、なんとなくの理由で決めるのではなく、「我が子にどんな人間になってほしいのか」という軸を持って選んでほしいと思います。
チームを選ぶ際は、見学や体験の機会を利用して、ぜひ以下のポイントを確かめてみてください。
1. 指導者が「勝ち」だけでなく「子どもの成長や人間性」を大切にしているか
試合中や練習中、指導者がどんな声をかけているかを見てください。ミスをした子をただ怒鳴り散らしていないか、子ども一人ひとりの成長に目を向けているかを確認することが大切です。
2. チーム全体の言語環境や、ミスをした時の雰囲気が悪くないか
子ども同士がどんな言葉を掛け合っているかに注目してください。失敗した仲間を責める空気が流れていないか、ポジティブな声を掛け合えているかは重要な指標です。
3. 「我が子をどう育てるか」という観点で選べているか
友達がいるから、距離が近いからという理由だけでなく、「このチームの雰囲気なら、我が子が思いやりのある素敵な大人に育っていけそうか」という視点を持って判断してあげてください。
■ まとめ:良い環境が、子どもの心と未来を守る
子どもは、置かれた環境の空気を吸って育ちます。
技術が伸びることも大切ですが、それ以上に「仲間を大切にできる心」や「人として信頼される人間性」が育つ環境を選んであげることこそが、親から子どもへの一番のプレゼントになります。
スポーツを通して我が子が人間としてたくましく、優しく成長していけるよう、ぜひ温かく慎重な目でチームの環境を見極めてあげてくださいね。


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