連日ニュースで話題になっている、大手回転寿司チェーン「くら寿司」でのちいかわコラボキャンペーンに関する不正行為と、それに伴う一部企画の中止や変更の報道。楽しみにしていたファンはもちろん、多くの方が「なぜそんなことを…」と残念で悲しい気持ちになったのではないでしょうか。
子どもたちと日々向き合う現役の小学校教員として、今回のニュースには単なる「世間の騒動」以上のショックと胸の痛みを覚えました。
仕組みやルールの隙をついて「自分さえ得をすればいい」という考えを持ったまま、学校という場を卒業させてしまった大人がいたのではないか――。そう考えると、教育に携わる者として責任の重さを痛感します。
もちろん、どれほど社会や学校が手を尽くしても、世の中のすべての不正行為を完璧に防ぐことは難しいのかもしれません。ですが、「防ぎきれないから」と諦めるのではなく、学校や大人ができることを考え続けていく必要があります。
今回は、このニュースをきっかけに**「自分も他人も大切にできる子どもをどう育てるか」**について、学校現場のリアルな経験を交えながらお伝えします。
学校現場で見られる「自分さえよければいい」子どもの姿
実は、こうした「自分さえよければいい」という振る舞いの芽は、大人の世界だけでなく、日常の学校生活の中でも見られることがあります。
授業中、自分が退屈だからと集中して聞いている友達の横で私語を始めてしまう
周りの仲間が一生懸命頑張っている中で、「自分はやりたくないから」と一人でサボってしまう
これらは子どもにとっては小さな行動に思えるかもしれません。しかし本質的には、「自分の『楽をしたい・楽しみたい』という気持ちを優先し、周りの人の時間や思いを置き去りにしてしまっている状態」と言えます。
叱るだけではない、教員が学校で重なる「問いかけ」
こうした姿を見たとき、私たち教員はただ頭ごなしに「静かにしなさい!」「ちゃんとやりなさい!」と叱るわけではありません。
「いま話しかけると、一生懸命聞いている友達はどう思うかな?」
「みんなが汗を流して頑張っている中で一人サボっていたら、周りはどんな気持ちになると思う?」
このように、「自分の行動の先にいる、誰かの気持ち」に目を向けられるような問いかけを日々重ねています。
自分の欲求や「楽しみたい」という気持ち自体は決して悪いものではありません。大切なのは、「自分のやりたいこと」と「周りの人の気持ちや社会のルール」がぶつかったときに、どう折り合いをつけるかという視点を育てることです。
「自分が良ければそれでいい」から一歩進んで、「自分も心地よく、周りも心地よく過ごすにはどうすればいいか」を考えられるようになること。その日常の積み重ねが、将来社会に出たときの倫理観の土台になると信じて子どもたちと向き合っています。
【家庭でできること】ニュースをきっかけに親子で会話してみよう
この「相手の立場を想像する力」は、学校だけでなくご家庭と手を取り合うことで、より深く子どもたちの心に根付いていきます。
今回のようなニュースを目にしたとき、ぜひご家庭でも「これってどう思う?」とお子さんに問いかけ、一緒に話題にしてみてほしいのです。
「自分が得をすることで、楽しみに待っていた誰かが悲しい思いをしてもいいのかな?」
「もし自分が楽しみにコラボを待っていた側だったら、どんな気持ちになる?」
ここで大切なのは、親が「正しい答え」を教え込むことではありません。親子で「他人の気持ち」や「社会での振る舞い」について言葉を交わす、その時間自体が子どもたちの「心のブレーキ」や「相手を思いやる想像力」を育む大きな糧になります。
まとめ:自分も他人も大切にできる大人へ
全ての不正を防ぐ社会を作ることは難しくても、目の前の子どもたちが「自分の幸せも、周りの人の幸せも、どちらも大切にできる人」に育っていくよう手を差し伸べ続けることはできます。
「自分さえよければ」という選択をしない強さと優しさを育むために。これからもご家庭と協力しながら、子どもたちの成長を温かく、時に厳しく見守っていきたいと思います。


コメント