愛されている」という安心感を土台にして、学習や人間関係、スポーツでも「正のループ」に入り、たくましく伸びていくとお伝えしました。
そうは言っても、**「感謝の大切さは分かるけれど、どうやって子どもに教えればいいの?」**と疑問に思われる保護者の方も多いのではないでしょうか。
「ありがとうと言いなさい!」と無理に言わせても、心からの感謝にはつながりません。
実は、学校という「集団の場」だけでは、一人ひとりのお子さんの心の根っこを細かく育みきれない場面もあります。だからこそ、日頃から一番近くで深く寄り添えるご家庭での小さな習慣が、お子さんにとって一生の財産になります。
私共教員も、保護者の皆様も、「子どもに幸せになってほしい」という願いはひとつです。学校と家庭がパートナーとして手を取り合い、子どもの「感謝の芽」を育てるための具体策をご紹介します。
家庭でできる「感謝の芽」を育てる5つのアプローチ
1. 親自身が「当たり前」を感謝に変える姿を見せる
子どもは、親の言葉以上に「親の姿や行動」をよく見ています。
まずは親自身が、日常のささやかなことに「ありがたいね」と呟く姿を見せてあげることが一番の近道です。
「今日はお天気がよくて、洗濯物がすぐ乾いてありがたいね」
「農家さんが大切に育ててくれたから、今日の野菜は美味しいね」
「スイッチひとつで電気がつくのって、本当はすごいことだよね」
当たり前の中に潜む「人の手間のありがたさ」を親が口にするだけで、子どもの視野は自然と広がっていきます。
2. 「成果」だけでなく「陰で支えてくれた人」に光を当てる
テストで良い点を取ったとき、スポーツの試合で勝ったとき、本人の努力を褒めるのはとても大切です。それに加えて、「関わってくれた人や環境」に目を向けさせる問いかけをプラスしてみましょう。
「〇〇ちゃんが毎日がんばった成果だね!集中して勉強できる環境を作ってくれたことや、教えてくれた先生にも感謝だね」
「試合で勝ててすごかったね!一緒に声を掛け合って練習してくれた仲間や、指導してくれたコーチのおかげでもあるね」
結果だけでなく、周りの支えに気づける子は、うまくいったときに謙虚になれ、壁にぶつかったときも周りの助言を素直に受け入れられる強さを持てます。
3. 「与えられる側」から「人の役に立つ側」の体験をつくる
人は、「誰かの役に立った」「感謝された」という体験を通して初めて、自分が受けている感謝の価値に気づきます。ご家庭の中で、お子さんに小さな役割(お手伝い)を与えてみてください。
テーブルを拭く / 玄関の靴をそろえる / 家族のお茶を注ぐ
そして、できたら**「〇〇ちゃんのおかげで助かったよ、ありがとう!」**と伝えます。「自分の一動が誰かを笑顔にした」という実感(自己有用感)が育つと、自然と他人の親切や手間に気づけるアンテナが育っていきます。
4. 一日の終わりに「あったかい気持ち」を振り返る
「ないもの(不満)」ではなく、「あるもの(恵まれていること・できたこと)」に目を向ける習慣をつくりましょう。晩ごはんのときや、寝る前のほんの1〜2分で構いません。
「今日、嬉しかったことや『ありがとう』って思ったこと、何かあった?」
と、軽く尋ねてみてください。上手く言葉にできない日は、親の方から「今日、〇〇ちゃんが笑顔で挨拶してくれて嬉しかったな」と伝えてあげるだけでも十分です。
5. 「ありがとう」に「理由」を添えて伝える
感謝の習慣をつけるとき、「ありがとうと言いなさい」と形だけを強要するのではなく、「何が嬉しかったのか」を言葉にするサポートをしてあげましょう。
「〇〇ちゃんが消しゴムを拾ってくれて、その優しさが嬉しかったね」
相手の行動の背景にある「思いやり」を言語化してあげることで、子どもは「人の心」を感じ取る豊かな感性を育んでいきます。
【大切】焦らず、粘り強く。大人の「自然な姿」が子どもに伝わっていく
ここまで具体策をお伝えしてきましたが、一番お伝えしたいのは**「感謝の習慣は、すぐには身につかない」**ということです。
今日声をかけたからといって、明日すぐに子どもが劇的に変わるわけではありません。時には思い通りにいかなくて不満を言ったり、当たり前のように受け取ったりすることもあるでしょう。それも成長の過程ですから、焦る必要はまったくありません。
大切なのは、周りの大人(親御さんや私たち教員)自身が、日々の中で「感謝の習慣」を楽しみながら身につけていくことです。
大人が日常の小さなことにありがたさを感じ、自然と「ありがとう」を口にしている姿。その姿を毎日見ながら育った子どもは、気づいたときにはごく自然に、当たり前のように感謝ができる大人へと成長していきます。
「種をまいて、水を与え、気長に芽が出るのを待つ」ような温かい気持ちで、粘り強く続けていきましょう。
おわりに:親と学校が手を取り合い、子どもの「本物の幸せ」を育てていく
人格形成において、小学校の1〜4年生という時期は「心の根っこ」をつくる本当に大切なゴールデン期です。
「感謝できる子に育てなきゃ」と肩肘を張る必要はありません。大人自身が日常の中にある小さな「ありがたいね」を楽しんでいく姿を、子どもたちに見せていければそれで十分です。
学校とご家庭が同じ思いで手を取り合い、一人ひとりのお子さんの成長をあたたかく、気長に見守っていくこと。
そうしてじっくり育まれた「感謝の心」は、これから先どんな困難に出会っても折れることなく、自分の力で人生を切り拓いていく**「本物の幸せ」**の土台になると信じています。


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