【第3回】テスト返却で「怒られる…」と怯える子。結果主義から抜け出し、有能感を育てる声かけ

勉強 学習

教室でテストを返すとき、点数を見た瞬間に「あぁ、親に怒られる…」と真っ先に怯えてしまう子がいます。その姿を見るたびに、「この子は『結果が全て』と思い込み、自分自身が否定されたように感じているのではないか」と、教員として心が痛むことがあります。

私たち教員がテストを行うのは、決して子供を評価してランク付けするためではありません。「どこができていて、どこが苦手なのか」を客観的に把握し、次のステップ(成長)に繋げてほしいだけなのです。

内発的動機づけ(自分から進んでやる気)を高める3つの鍵のうち、2つ目は「有能感の欲求(自分にはできる力があると感じたい)」です。

今回は、テストや宿題の「結果」に縛られて自信を失っている子供たちへ、どのように声をかければ「やればできる!」という本物の自信を育てられるのかを解説します。

なぜ「結果」ばかりを評価すると子供は潰れてしまうのか?

テストの点数が悪かった時にひどく叱られたり、逆に100点を取った時「だけ」大げさに褒められたりすると、子供は無意識のうちに次のような思考に陥ります。

「良い点数を取る自分には価値がある」

「悪い点数を取った自分には価値がない(愛されない)」

結果だけを評価され続けた子供は、失敗を「学びの機会」ではなく「自己否定」として受け取るようになります。その結果、間違えることや親をガッカリさせることを極端に恐れ、少しでも難しそうな問題には手を出さず、「分からない」とすぐに投げ出すようになってしまうのです。

テストの本当の目的を伝え、有能感を育てる3つの声かけ

子供に「やればできる!」という本物の自信を持たせるためには、大人の声かけを「結果」から「プロセス(過程)」へとシフトさせる必要があります。

① テストは「今の現在地」を知るためのツールだと伝える

「点数が悪かった=ダメな子」ではありません。「ここまでは分かっていて、ここから先がこれから練習するところだね」と、テスト本来の目的を伝えてあげてください。間違いは自分を否定するものではなく、成長のための道しるべになります。

② 比較対象を「他人」ではなく「過去の自分」にする

「〇〇ちゃんはもっとできるよ」といった他者との比較は、子供の自信を奪います。「昨日より計算が早くなったね」「1年生の時は書けなかった漢字が、こんなに書けるようになったね」と、「過去の自分」からの成長幅にスポットライトを当てましょう。

③ 結果ではなく「プロセス(工夫・努力)」を言葉にする

点数ではなく、子供が取り組んでいた姿を実況中継するように伝えます。

「15分間、一度も立ち歩かずに集中していたね」

「間違えたところを、自分で消しゴムで丁寧に消して書き直せていたね」

大人が「あなたの頑張る過程をしっかり見ているよ」と伝えることが、最大の承認になります。

声かけ変換表

NGな声かけ(結果・評価) OKな声かけ(プロセス・現在地の確認) 子供への効果
「なんでこんな問題も間違えるの!怒られるよ!」 「ここは計算式まで合ってるね! あとは最後の引き算を練習すれば完璧だね」 失敗を自己否定ではなく「次の課題」として前向きに捉えられる。
「100点取れてすごいね!えらい!」 「毎日コツコツ練習したから、スラスラ解けるようになったね!」 「自分の努力があったからできた」というプロセスと結果が結びつく。
「字が汚い! 全部やり直し!」 「この『あ』の字はすごく丁寧に書けてるね! 他もこの感じでいける?」 できている部分(小さなできた)を実感し、自ら修正に向かえる。

まとめ:子供の「現在地からの成長」を楽しむ視点を持とう

子供ができなかったことができるようになる瞬間、ほんの少し前進する瞬間。その成長のプロセスを見守ることは、本来とてもワクワクする楽しい時間のはずです。

私たちが「100点か、それ以外か」という結果のフィルターを外し、目の前の子供の「小さな変化」に気づいて言葉をかけるだけで、子供は「自分は進歩しているんだ」と確かな自信(有能感)を深めていきます。

まずは今日、宿題やテストに取り組むお子さんの「結果(マルやバツ)」ではなく、「頑張っているプロセス」を1つだけ見つけて、声に出して伝えてみませんか?

次回はいよいよ最終回。内発的動機づけを最大化する最後の鍵、【第4回:つながり・貢献編】「誰かの役に立つ喜び」が最強のモチベーション。貢献感と内発的動機づけをお届けします。

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