「100点取ったら100円くれる?」
「掃除したら何かいいことあるの?」
学校やご家庭で、こんな風に何か行動を起こすたびに「ご褒美(見返り)」を求めてくることはありませんか?
何かを頑張るきっかけとして、一時的にご褒美を使うこと自体を否定するわけではありません。しかし、あらゆる行動の基準が「損か得か」になってしまうと、子供の将来にとって非常に大きなリスクを抱えることになります。
今回は、常に損得勘定で動いてしまう子が陥る**「ご褒美貧乏」**の危険性と、実際に学校で成果を出し、努力を継続できる子の決定的な違いについてお話しします。
「ご褒美貧乏」が奪ってしまう大切なもの
書籍『夢を叶えるゾウ』などでも紹介されている**「ご褒美貧乏」**という考え方があります。これは、「ご褒美(お金や物)をもらうために、やりたくないことを我慢してやる」という思考パターンに囚われてしまっている状態を指します。
行動の1番の価値基準が「損得」になってしまうと、次のような悪循環に陥りやすくなります。
努力が長続きしない: ご褒美という外的な報酬がもらえる時しか頑張れない。
「与えること」の喜びを感じられない: 自分が得をしないことには手を出さない。
挑戦しなくなる: 失敗するリスクや、報酬が得られない可能性のある難しいことに取り組まなくなる。
「これをしたら何かいいこと(得)があるんですか?」という考え方は、一見すると賢く立ち回っているように見えて、実は**「自分の好奇心や成長の機会を自ら狭めてしまう、とても寂しい考え方」**なのです。
成果を出し続ける子は「うちにはそんなのないよ」と言う
一方で、学校で生き生きと活躍し、テストでも安定して高い点数を取る子、そして何より**「自分で努力を継続できる子」**たちには、ある明確な共通点があります。
周りの友達が「テストで100点取ったから〇〇買ってもらった!」「〇円もらった!」と話している時、そうした成果を出す子たちに話を聞くと、あっさりとこう言います。
「え? うちはテストで良い点取っても、お金とかご褒美なんて何もないよ」
彼らは、親からご褒美を与えられているから頑張っているのではありません。彼らを突き動かしているのは、次のような内側からのエネルギー(内発的動機)です。
| モチベーションの源泉 | 子供の心理状態 |
|---|---|
| 知的好奇心・探究心 | 「新しく知ることが楽しい」「できなかったことができるようになるのが嬉しい」 |
| 達成感・成長感 | 「自分の力を試してみたい」「昨日の自分を超えたい」 |
| 貢献感と感謝の循環 | 「自分の頑張りで周りが喜んでくれるのが誇らしい」 |
「損得」ではなく「自分の成長や楽しさ」を基準にしているからこそ、誰に言われなくても努力が長続きし、結果として高い実績や活躍に結びついているのです。
本来「お金」や「価値」とは何なのか?
「お金とは、嫌なことを我慢した対価である」という考え方のまま大人になってしまうと、働くことも苦痛になってしまいます。しかし、本来お金とは**「感謝の印」**です。
「自分がこれだけの価値を提供したから」「自分が夢中になって楽しんだものを周囲に広げ、人の役に立ったから」こそ、その対価として感謝が形になったものがお金です。
損得勘定だけで動く人は、「与えること(貢献)」の本当の価値に気づくことができません。子供たちの未来をより明るく豊かなものにするためには、「我慢の対価」としての報酬ではなく、「感謝の循環」としての価値基準を育んでいく必要があります。
ご褒美に頼らず「やる気のスイッチ」を入れる具体的な方法
では、損得勘定で動きがちな子供たちを、どのように変化させていけば良いのでしょうか? ご家庭や学校で実践できる具体的なアプローチを3つ紹介します。
① 評価を「称賛」から「感謝と貢献の伝達」に変える
何か良い行動をした時、「すごいね!」「えらいね!」と褒める(=ご褒美を与える)代わりに、**「〇〇してくれたおかげで、みんなが助かったよ。ありがとう!」**と伝えましょう。
自分の行動が他者の喜びに直結している体験(貢献感)を積むことで、物やお金以上の満足感を知ることができます。
② 結果ではなく「夢中になったプロセス」を認める
100点という結果に対してご褒美を渡すと、「結果=損得」に直結します。そうではなく、「昨日まで解けなかった問題に何度も挑戦していたね」「夢中で調べている姿がすごく格好よかったよ」と、損得を忘れて没頭していたプロセスそのものを認めてあげてください。
③ 仕事や勉強の「本当の意味」を対話する
身近な職業やお手伝い、日々の勉強について、「これは誰のどんな困りごとを解決しているんだろう?」「どうして『ありがとう』が生まれるんだろう?」と、一緒に問いかけ、考える時間を作りましょう。「お金=感謝の形」という概念を、対話を通して少しずつ伝えていくことが大切です。
おわりに:未来を照らす「本当の強さ」を育てるために
損得勘定が強い子は、見方を変えれば「目的意識がはっきりしていて、自分の利害に敏感」という強みも持っています。だからこそ、その目的のベクトルを「自分だけの得」から「自分自身の成長」や「周りへの貢献」へと、少しずつシフトさせてあげることが大人の役目です。
「ご褒美がなくても、やりたいからやる」
「誰かの役に立つことが嬉しいからやる」
そう思える内面的な強さを育てることこそが、どんな時代であっても自分らしく輝き、自立した未来を切り拓く力になると信じています。
内面的な強さ、内発的動機付けを育てるにはどうすれば良いかは次回の記事で紹介します!


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