【第1回】通知表の「◎・○・△」に込められた教員の想いと、評価の仕組み

勉強 学習

学期の節目に子どもたちが持ち帰る通知表(成績表)。

手渡された瞬間、子どもたちは「◎が〇個あった!」「△があった…」と、どうしても数や記号だけに目を向けがちです。保護者の皆さんも、真っ先に記号の数に目が行ってしまうのではないでしょうか。

ですが、私たち教員は「記号をつけるため」だけに通知表を作っているのではありません。一人ひとりの半年間の学習や学校生活を思い返し、成長を噛みしめながら、次のステップへ繋げるための「手紙」として作成しています。

今回は、教員がどのような思いで「◎・○・△」をつけているのか、特に学習の基本となる算数と国語を例に挙げながら、評価の仕組みと裏側をお伝えします。

1. 「○」は「十分にできている(バッチリ!)」という安心の評価

保護者の方から「○ばかりで◎が少ない…」とご相談を受けることがよくあります。

ですが、通知表における「○」は、決して「普通」や「可もなく不可もなく」という意味ではありません。学校や学年で求められている目標をしっかりとクリアし、学習内容が十分に身についている(バッチリ達成できている)という素晴らしい評価です。

教員から見れば、「○」がついている項目は「授業もしっかり理解できていて、安心して次のステップへ進める状態」です。

ご家庭でも、まずは「○がたくさんあるね!毎日コツコツ授業についていけていてすごいよ」と、しっかりと認めてあげてほしい安心の基本点です。

2. 「◎」は、テストの点数だけでは取れない「挑戦の証」

一方で、「◎」は単なる「テストで100点を取ったご褒美」ではありません。

現在の評価基準において、◎がつくのには明確な根拠があります。それは、基礎・基本(○の状態)を理解した上で、さらに「自分の言葉で深めて表現できた」「友達の意見を生かして自分の考えを工夫・調整できた」という、一歩深まった学び(挑戦)が見られたときです。

「テストの点数が良いから◎」ではなく、「学びに向かう姿勢や試行錯誤のプロセスが素晴らしかったから◎」なのです。

3. 「△」をつけるのは、教員にとっても勇気がいること

正直にお伝えすると、子どもに「△」をつけるとき、教員はとても悩み、大きな勇気を必要とします。

「傷つかないだろうか」「モチベーションが下がってしまわないだろうか」と葛藤します。それでも△をつけるのには、明確な理由と強い願いがあるからです。

通知表における「△」は、決してその子を否定する記号ではありません。

「ここはまだ習得の途中だから、後期(後半)にここを重点的にサポートすれば、必ずグンと伸びるよ」という、学校からの手厚い『伸びしろサイン』です。

教員は、「なんとなく」で△をつけることは絶対にありません。日々のテスト、ノートの記述、授業中の様子など、明確な根拠(事実)をもとに「今、どこでつまずいているか」を特定した上でつけます。

ですから、ご家庭で△を見つけたときは、「ダメだったね」ではなく「ここが次の伸びしろなんだね!ここを一緒に練習してみようか」と捉えていただけると、子どもは安心して前を向くことができます。

4. 評価を支える「3つの観点」ってなに?(算数・国語の具体例)

学校の通知表は、テストの点数だけで決まっているわけではありません。主に次の3つの視点(観点)から、子どもの学びを多角的に見ています。

特に授業数の多い「算数」と「国語」を例に、具体的な場面で解説します。

① 知識・技能 =「知識を使える(使える武器になっている)か」

単に丸暗記しているかではなく、「実際の場面で使える状態になっているか」を見ています。

 算数: 九九や公式を覚えているだけでなく、文章題に合わせて正しい式を立てて計算できる。

 国語: 漢字を単体で書けるだけでなく、文章の中で適切な場面で正しく使える。

② 思考・判断・表現 =「自分なりに考え、伝える力があるか」

答えが合っているか(正解か)だけでなく、「どうやってその答えにたどり着いたか」「それをどう周りに伝えたか」を見ています。

 算数: 「なぜその式になるのか」を図や言葉を使ってノートに分かりやすく説明している。

 国語: 登場人物の気持ちを、本文の言葉を根拠にしながら「自分はこう思う」と自分の言葉でまとめられる。

③ 主体的に学習に向かう態度 =「粘り強さと、自分を高める工夫」

保護者の方から一番誤解されやすいのが、この「主体性」です。「元気に手を挙げる子が得」「おとなしい子は不利」と思われがちですが、決してそうではありません。

教員が見ているのは、「粘り強さ」と「自分の学びを振り返って調整する姿」です。

 算数: 難しい文章題に出会っても、すぐに諦めずに図を描き直したり計算をやり直したりして解こうとしている。

 国語: 作文や振り返りシートで「前回は理由が足りなかったから、今回は『なぜなら』を使って書こう」と自分なりに工夫している。

 ※静かにじっくり集中してノートに向き合い、試行錯誤を重ねている子も、しっかりと評価されます!

おわりに:通知表は子どもと歩むための「道しるべ」

成績の「◎・○・△」は、子どもの人間性を採点するものではありません。今どの場所にいて、次にどこへ向かえばいいかを示す「道しるべ」です。

教員が一人ひとりの成長を願ってつけた評価だからこそ、表面的な数だけに振り回されず、その陰にある「がんばり」と「伸びしろ」をご家庭でも一緒に見つめていただけたら嬉しいです。

これで「○・◎・△」の3つの評価の意図が全て綺麗に揃いました!

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