【第1回】繰り返す暴言の裏にある「脳のクセ(発達障がい)」という可能性

子育て

こんにちは、現役教員のきんみょ先生です。

前回の連載では、子どもが暴言を吐く背景には「環境の影響(少年団など)」や「学習のつまずき」「きょうだいの誕生や親友関係による不安」といった心が満たされていないSOSがあるとお伝えしました。

しかし、ご家庭で言葉をかけて背景のストレスを減らそうと試みても、

 「やっぱり同じ場面で激しくパニックになってしまう」

 「何度静かに伝えても、衝動的にひどい言葉が飛び出してしまう」

 「こちらの言おうとしている意図が、どうも噛み合わない」

そんな状態が続く場合、一度「脳のクセ(発達特性)」という可能性に目を向けてみるのも一つの方法です。

教室で見る素顔と、学校現場で私が感じるもどかしさ

まず、現場で彼らと毎日過ごしている私から、一番にお伝えしたいことがあります。

普段は教室でカッとなって暴言を吐いたり、パニックを起こしたりしてしまう子であっても、別室で1対1になり、落ち着いてゆっくりやりとりをすると、驚くほど素直で、優しく、気が良い子たちばかりなのです。

誰かが困っていればサッと助けてくれたり、自分の好きなことを楽しそうに無邪気に話してくれたり。人間としての魅力や温かさをたくさん持っています。決して「性格がひねくれている子」でも「意地悪な子」でもありません。

しかし、ここに学校現場ならではのとても辛い現実があります。

私たち大人であれば、時間をかけてその子の「本来の優しさや良さ」に気づくことができます。けれど、同年代の子どもたちには、そこまで汲み取って理解することがどうしてもできません。

言葉の言い回しがキツくなったり、急にパニックになったりする姿だけを見て、「あいつ、急に怒るから嫌だ」「へんなやつ」と離れていってしまう……。結果として本人が集団の中で浮いてしまい、一番辛い状況に追い込まれてしまうのです。

本来はとても心が優しく気が良い子なのに、周囲に伝わらず苦しんでいる姿を見るのは、現場の教員として本当に心苦しく、「なんとかしてこの子を助けたい」「この子の良さを守りたい」と強く感じています。

環境やメンタルの問題だけでは説明がつかない「脳の仕組み」

暴言やトラブルが起きるとき、私たちはつい「ストレスが溜まっているのかな」「愛情不足かな」と考えがちです。

もちろん環境や心理的な影響も大きいのですが、それらを整えてもなお激しい暴言やパニックが続く場合、それは決してご家庭の関わり方のせいではありません。

脳の中にある「情報の受け取り方」や「感情のブレーキの踏み方」に、生まれつきその子独自のクセがある可能性があるのです。

教室でも気づかれにくい「発達障がい」のリアル

発達特性の中でも、特に周りが気づきにくいのが発達障害の「高機能自閉スペクトラム症(知的な遅れを伴わないASD)」や「ADHD(注意欠如・多動症)」のお子さんです。

知的な遅れがないため、普段の会話もしっかりできますし、勉強が得意なこともあります。しかし、集団や忙しい場面では次のようなシーンで「あれ?」と感じることがあります。

  •  言葉を「文字通り」受け取りすぎて爆発する

(例:「ちょっと待ってて」と言われて、具体的に何分待つか分からず強烈な不安から「うざい!」とキレる)

  •  相手の表情や「場の空気」を読むのが極めて苦手

(悪意はなく、思ったことをオブラートに包まずそのまま口にして「暴言」になってしまう)

  •  予定の変更やルール違反に耐えられない

(自分の思い描いていた手順が崩れると、脳がパニックを起こして強い言葉で相手を排除しようとする)

  •  衝動のブレーキが間に合わない

(頭では分かっていても、カッとなった瞬間に「死ね!」と言葉が先に出てしまう)

こうした姿は、周りの子どもたちからは「我がまま」「自分勝手」に見えてしまいがちですが、実は「脳の処理が追いつかず、本人も困り果てている状態」なのです。

「障害のラベル」ではなく「我が子の取扱説明書(トリセツ)」

「我が子に発達障害の可能性があるかもしれない」と思うと、不安になったり抵抗感を持ったりするのは当然のことです。

ですが、私は教員としてこう考えています。

特性に気づくことは、子どもに「障害」というネガティブなラベルを貼ることではありません。「その子専用の取扱説明書(トリセツ)を手に入れること」です。

「あ、この子は意地悪で言っているんじゃないんだ。言葉のニュアンスを深読みするのが苦手な脳のクセがあるんだな」

そう理由が分かると、大人側のイライラも「なんで分からないの!」から「どう伝えれば届くかな?」へと変わっていきます。ご自分や子どもを責める必要はどこにもありません。

まとめ:一歩ずつ、その子に合った関わり方へ

前回の対応を試しても手応えがないときは、それはあなたが失敗したのではなく、「アプローチの切り口を変えるサイン」かもしれません。

同年代の間で苦しい思いをしている我が子を助け、本来持っている優しさや良さを発揮させてあげるために。次回は、こうした「脳のクセ」を持つお子さんに対して、ご家庭で試せる「怒鳴らなくてもスッと届く、声かけと環境調整の具体的な工夫」についてお伝えします。

現役教員が教室でも使っているテクニックを分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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