【第2回】家庭で試せる!怒鳴らなくても伝わる「声かけと環境調整」

子育て

こんにちは、現役教員のきんみょ先生です。

第1回では、前回の連載で触れた環境やストレスをケアしてもトラブルが続く場合、その背景には「脳のクセ(発達特性)」があるかもしれないというお話をしました。

「脳のクセのせいだと分かっても、家でカッとなったときにどう対応すればいいの?」 「結局、何度も同じことを注意してイライラしてしまう……」

そう悩まれる親御さんも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、現場の教室でも実践している「怒鳴らなくてもスッと届く声かけと環境調整のコツ」をご紹介します。

怒鳴っても届かない理由:脳の「キャパオーバー」

まず知っておいていただきたいのは、子どもがパニックになったり暴言を吐いたりしているとき、脳の中は情報で満杯(キャパオーバー)になっているということです。

脳の処理が追いついていない状態のときに、大人から長々と「なんでそんなこと言うの!」「さっきも言ったでしょ!」と強い口調で言葉を浴びせられると、子どもはさらにパニックを起こします。

大人が怒鳴ると、子どもには「怒られた恐怖」しか残らず、本来伝えたい「どう行動すればいいか」という指示が一切耳に届かなくなってしまうのです。

教室でも実践している「声かけと環境調整」の4つの工夫

では、具体的にどう対応すればいいのでしょうか。ポイントは「長々と説明しないこと」と「環境を整えること」です。

① 伝える言葉は「短く・具体的」にする

「ちゃんとしなさい」「静かにして」といった抽象的な言葉は、脳の処理が苦手な子には伝わりません。

  • NG: 「いい加減にしなさい!なんでいつもそうなの!」
  • OK: 「口をチャックして、座ります」(やってほしい行動だけを短く伝える)

「何をすればいいか」を短く具体的に伝えることで、子どもは脳の中で行動をイメージしやすくなります。

② 言葉だけでなく「目で見える化(視覚化)」する

発達特性のある子は、耳から入る情報(耳からの指示)を処理するのが苦手な傾向があります。

  • 宿題や明日の準備などの手順は、紙やホワイトボードにリスト化しておく
  • 「あと5分ね」ではなく、タイマーを見せて時間の経過を可視化する

言葉で何度も「早くしなさい!」と怒鳴るよりも、目で見える形にしてあげる方が、驚くほどスムーズに動けるようになります。

③ 爆発したときは「クールダウン(刺激を減らす)」

カッとなって暴言が出ている最中は、何を言っても届きません。そんなときは無理に話し合おうとせず、刺激の少ない場所へ移動させます。

  • 別の部屋や静かな場所に移動する
  • 「落ち着くまで、ここでゆっくり休もうね」と伝える

第1回でお話ししたように、彼らは1対1でゆっくり話せば、本来とても素直で気が良い子たちです。脳のキャパオーバーが治まるまで「刺激を断って待つ」ことが一番の近道です。

④ 「1つの文で、1つの指示(ワンセレクト・ワンアクション)」

一度に「手を洗って、カバンを片付けて、着替えてね」と言われると、脳が混乱します。 「まず手を洗おうね」→(できたら)→「次はカバンを片付けよう」と、1つずつ順番に指示を出すようにしてみてください。

大人のマインド:「イライラしながらも、淡々と対応する」

どれだけ工夫しても、子どもに暴言を吐かれれば大人だってイライラしますし、むかつくのも当然です。

ですが、そこで完璧な聖人君子を目指す必要はありません。

「あー、めちゃくちゃ腹が立つな!」と心の中で思いながらも、「でも、これはこの子の脳のクセのせいだな」と一瞬切り離し、低いトーンで淡々と「その言葉は使わないよ。座ろうね」と伝える。

自分の感情は後で好きなものを食べたり誰かに愚痴を聞いてもらったりして解消し、子どもへは「淡々とトリセツ通りの対応をする」。この割り切りこそが、大人自身の心を折らないコツです。

まとめ:環境が変われば、子どもの表情が変わる

子どもを怒鳴ってしまうのは、あなたの愛情が足りないからでも、教え方が悪いからでもありません。ただ「その子の脳に合った伝え方(環境)」になっていなかっただけなのです。

伝え方を少し変えてあげるだけで、子ども自身も「どうすればいいか分かる!」と安心し、笑顔が増えていきます。

次回は、親御さんにとっても心理的なハードルが高い「特別支援学級(支援学級)への偏見や誤解」についてお話しします。

「支援学級ってどんな場所?」「一度入ったら戻れないの?」といった不安を解き明かしていきますので、ぜひご覧ください。

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