【第2回】「練習がしんどい…」集団行動が苦しい子に親ができる最大のサポートと「成長の証」

体作り

前回の記事では、運動会を通して子どもたちが自発的な責任感や仲間を認め合う心を育んでいく、素晴らしい成長のプロセスについてお伝えしました。

しかし、教員として毎年現場に立っていると、その光の陰で「運動会の練習が大きなストレスになり、苦しんでいる子どもたち」の姿も同時に目に入ってきます。

全員が運動会を楽しみにしているわけではありません。いつもと違う日課、炎天下での厳しい練習、周りと動きを合わせなければいけないプレッシャーなど、運動会シーズンは子どもにとって非常に負荷の高い時期でもあります。

今回は、集団行動に困り感を抱えるお子さんのSOSのサインと、保護者の方に知ってほしい「前向きな成長の捉え方」、そしてご家庭でできるサポートについてお話しします。

「苦しい中でも参加している」それ自体が大きな成長の証

集団行動や周りにペースを合わせることが苦手なお子さんにとって、運動会の練習空間に身を置くこと自体が、実はとてつもなく大きな挑戦です。

「みんなと同じように動けない」「周りの音や雰囲気に圧倒されてしまう」……そんな葛藤と戦いながらも、その子なりに一生懸命踏みとどまり、頑張ろうとしています。

保護者の方の中には、周りの子とうまく合わせられていない姿を見て「うちの子だけついていけてないんじゃないか…」と不安になったり、申し訳なく感じたりしてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、教員としてお伝えしたいのは、「苦手なことに向き合い、その空間で踏ん張っている姿こそが、確実に社会性を身につけてきている何よりの証拠」だということです。

最初から完璧にできる必要なんてありません。泣いたり嫌がったりしながらも、自分なりのペースで集団の中にいようとするその一歩一歩を、保護者の皆様にはぜひ「うちの子、前向きに成長しているんだな」と誇らしく受け止めていただきたいのです。

なぜ運動会の練習で「SOS」が出てしまうのか?

とはいえ、お子さんが心身の限界を超えてしまわないよう、負荷がかかる理由を知っておくことも大切です。運動会の練習期間中、学校では普段の授業とは全く異なる環境になります。

 視覚や聴覚の刺激が強くなる: ピストルの音、大音量の音楽、眩しい太陽、大勢の歓声や指示の声。

 スケジュールやルールが変わる: 時間割が毎日変わり、予定の予測が立ちにくくなる。

 「全体に合わせる」ことが強く求められる: 集団での行動やダンスの隊形移動など、「自分ひとりのペース」が許されない空間が増える。

学校では社会性を身につけようと必死に限界まで頑張っているからこそ、家に帰ってきた途端に緊張の糸が切れ、様々なSOSサインとなって表れます。

家庭で見逃してほしくない「ストレスサイン」

練習期間中、お子さんに次のような変化が見られたら、それは運動会によるストレスが限界に近づいているサインかもしれません。

 朝、学校に行きたがらない・体調不良を訴える(腹痛、頭痛、だるさなど)

 家でイライラしやすく、急に怒ったり泣き出したりする

 夜なかなか眠れない、途中で目が覚める

 口数が極端に減る、元気がなくなる

ここで大切なのは、「学校で荒れているのではなく、家で安全にSOSを出せている」ということです。外でそれだけ社会性を発揮しようと踏ん張ってきた証拠ですから、「よく頑張ってきたね」とまずはその疲れを受け止めてあげてください。

保護者の方にお願いしたい「3つのケア」

もしお子さんが苦しそうな様子を見せていたら、ご家庭でぜひ次の3つのケアを意識してみてください。

① 家庭を「100%安心できる安全基地」にする

学校で苦手な集団行動に向き合い、社会性を広げようと頑張っている分、家の中ではできる限り「自分のペース」で過ごさせてあげてください。すり減ったエネルギーを家庭でしっかり充電することが、翌日の「また挑戦してみよう」という力に変わります。

② 「周りと比べる」のをやめ、「本人の歩幅」を認める

「〇〇ちゃんはちゃんと踊れていたよ」ではなく、「去年は途中で抜け出しちゃったのに、今日は最後までグラウンドにいられたね」「嫌がりながらも、自分で体操服に着替えられたね」と、その子自身の小さな前進を言葉にして認めてあげましょう。

③ 学校(担任)と遠慮なく連携する

「こんなことで相談したら迷惑かな…」と抱え込む必要はありません。

「家では練習の疲れが出ているようで、本人なりに葛藤しているみたいです」と伝えていただければ、学校でも「今日は少し見学の時間を挟もう」「できた瞬間をしっかり褒めよう」といった個別の配慮ができます。学校と家庭で手を取り合って、お子さんの成長の歩みを見守っていきましょう。

おわりに:完璧じゃなくていい。その子の「頑張り」が何より尊い

運動会当日の見栄えや、周りと寸分違わず動けたかどうかは、決して本質の評価ではありません。

集団行動に苦手意識を持ちながらも、自分なりに葛藤し、一歩ずつ社会性を身につけようと踏ん張ったプロセスそのものが、お子さんにとっての大きな成長であり、かけがえのない財産です。

どうぞ、「うちの子なりに、すごく頑張って社会性を学んでいるんだな」と前向きな気持ちで、温かく抱きしめてあげてください。

次回予告:タイプ別!運動会を「最高の思い出と自信」に変える魔法の言葉

最終回となる【第3回】では、これまでの話をふまえ、「張り切る子」「自信がない子」「疲れ切っている子」など、お子さんのタイプ別に運動会当日や終わった後に掛けてあげたい具体的な声かけテクニックをお届けします!

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