【第4回】なぜ「できるだけ早い学年」での支援学級検討が必要なのか?〜現役教員からの切実な願い〜

子育て

こんにちは、現役教員のきんみょ先生です。

第3回では、支援学級に対する「かわいそう」「隔離される」といった偏見をほぐし、支援学級は「その子専用のオーダーメイドな学び場」であるというお話をしました。

今回は、現場で日々子どもたちと向き合っている教員として、保護者の皆様にどうしてもお伝えしたい「切実な願い」をお話しさせてください。

それは、「支援学級への移行や検討は、できるだけ早い学年(低学年のうち)に考えてほしい」ということです。

「もう少し様子を見れば、みんなについていけるようになるかも……」 「高学年になってどうしてもダメだったら考えよう」

親心としてそう思いたくなるお気持ちは、とても痛いほどよく分かります。ですが、決断を先延ばしにすることで一番苦しい思いをしてしまうのは、他ならぬ子ども自身なのです。

1. 高学年まで先延ばしにすることの「一番のリスク」

学校現場で見ていて本当に心が痛むのは、高学年まで「合わない環境」で必死に耐え続けた末に、疲れ果ててしまうお子さんの姿です。

学年が上がると、授業内容は一気に難しくなり、友達関係も複雑になります。 第1回でお話ししたように、本来は素直で優しく気が良い子であるにもかかわらず、高学年になるまで放置されてしまうと、次のような二次的な苦しさ(二次障害)が生まれやすくなります。

  • 積み重なる失敗体験と深い劣等感 (「どうせ僕なんか何をやってもダメだ」「また怒られた」という自己否定)
  • 自分を守るための激しい暴言や荒れる行動 (惨めな気持ちやプライドを守るために「うざい」「バカ」と過剰に攻撃的になる)
  • 不登校や強いパニック (心のエネルギーが完全に切れてしまい、学校に行けなくなる)

さらに、高学年になると子ども自身にも強いプライドや周りの目を気にする気持ちが芽生えます。その状態になってから支援学級への移行を提案しても、「僕を頭が悪い子扱いするな!」「支援級なんて絶対に行かない!」と本人が激しく拒絶し、必要な支援の手が届きにくくなってしまうのです。

2. 低学年のうち(早い段階)に支援学級を選ぶ「最大のメリット」

では、できるだけ早い学年のうちに支援学級という「自分に合った環境」を整えてあげると、子どもはどう変わるのでしょうか。

最大のメリットは、「自己肯定感(自分はできるんだという自信)」を高く保ったまま成長できることです。

低学年のうちであれば、素直に大人の手助けを受け入れやすく、支援学級で自分のペースに合わせた「できた!」「分かった!」という小さな成功体験をたくさん積み重ねることができます。

小さいうちに「自分は大丈夫だ」という心の根っこ(安全基地)が育っている子は、高学年になっても感情が安定し、周囲とのコミュニケーションも良好に保ちやすくなります。

3. 将来の進路:特別支援学校(高等部)という手厚い選択肢

「支援学級に入ると、将来の進路や就職が狭まるのでは」と心配される方もいらっしゃいます。しかし、事実はまったく逆です。

小・中学校の支援学級で自分の「脳のクセ(得意・不得意)」を理解し、自分の取扱説明書を手に入れておくことで、高校進学の際にも「その子にとって一番輝ける選択肢」を選ぶことができます。

例えば、特別支援学校(高等部)では、生徒一人ひとりの特性や得意分野に合わせた丁寧な技術指導だけでなく、「その生徒にぴったりの企業への就職・自立」まで、手厚く手取り足取り考えてくれます。

  • 普通高校へ進学し、自分のペースで学んでいく道
  • 特別支援学校(高等部)へ進み、自分に合った就職・自立をしっかり目指す道

支援学級で過ごしながらお子さんの成長や様子をじっくり見守ることで、将来に向けてこうした多様で手厚い進路選択を、冷静に選んでいくことができるのです。

まとめ:我が子を「傷つく前に守る」という親の愛

「様子を見る」ということは、一見すると温かい見守りに思えますが、現場の教員から見ると、子どもに「分からない苦痛」や「失敗体験」を毎日与え続けてしまうことにもなりかねません。

子育ての中で、子どもが一切傷つかない道なんてどこにもありません。誰もが失敗したり傷ついたりしながら大人になっていきます。

しかし、合わない環境で一人で耐え続け、自分を完全に嫌いになってしまうような「取り返しのつかない心の傷」を負う前に守ってあげることは、大人にしかできません。

お子さんが本来持っている素直さや優しさを守り、自信を持って生きていくための環境(安全基地)を整えてあげること。 それこそが、親御さんがお子さんに示してあげられる「真の愛情と大きな守り」なのだと私は感じています

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