前回、「勉強する意味の答え(引き出し)を、大人自身がたくさん持ち続けよう」というお話をしました。

今回から、私自身が考えている「勉強する意味」の引き出しを、一つずつお話ししていきたいと思います。
最初の答えは、「過去とのつながりを知ることで、目の前の世界をより深く味わうため」です。
それを確信させてくれたのは、ある日の教室での子どもたちの姿でした。
先日子どもたちに、大人気アニメ『鬼滅の刃(無限列車編)』と、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の共通点を読み解く授業をしたときのことです。
一見すると全く違うこの二つの作品ですが、授業を進めるうちに、子どもたちの間で次々と「気づきの連鎖」が生まれていきました。
ある子は、宮沢賢治自身の生き方に着目しました。
「賢治は病気で死ぬ間際まで人に農業を教えたり、質屋で親身になってお金を貸したりしていたって読んだよ。それって、誰かのために自分を犠牲にしようとするカムパネルラたちと同じだよね。賢治は自分自身を登場人物に重ねていたんじゃないかな」
すると、別の子がこう続けます。
「『銀河鉄道の夜』では、人のためになることが本当の幸せで、それを分け与えることができるって言ってるよね」
そして、また別の子が目を輝かせて言いました。
「それって、鬼滅の刃の『人のためにすることは巡り巡って自分のためになる』って言葉と同じじゃない? あのセリフも、もしかしたら『銀河鉄道の夜』みたいな昔の作品の想いからつながっているのかな!」
教室の空気が、ハッと変わった瞬間でした。
ただ「アニメが面白かった」で終わるのではなく、宮沢賢治という過去の人物の生き方(歴史)を知り、名作(古典)を読み解くことで、現代の『鬼滅の刃』に込められた言葉の重みにまで思いを馳せることができたのです。
「昔の歴史や古典文学なんて、勉強して何の役に立つの?」
子どもからそう聞かれたとき、私はこう答えたいと思っています。
「過去を知ると、今見ている世界がもっと深く、もっと面白く見えるようになるんだよ」
もし、宮沢賢治の生き方を知らなければ。『銀河鉄道の夜』を読んだことがなければ。『鬼滅の刃』のあのセリフは、ただの「かっこいい名言」で終わっていたかもしれません。
しかし、過去の作品や歴史という「背景」を知っているからこそ、「あ、この言葉には100年前からの想いがつながっているんだ」と、何倍も深く感動できるようになります。
これは国語や文学だけに限りません。
科学の歴史を知ることでスマートフォンの凄さに感動できたり、世界の歴史を知ることで今ある平和の尊さを噛みしめられたりする。
人間は歴史の中で同じような過ちを繰り返しながらも、失敗から学び、少しずつ「よりよい人間社会」を作ろうとバトンをつないできました。その結果が、私たちの「今」です。
勉強して知識を得るということは、「目の前にある世界を、より鮮やかに、より深く楽しむための『魔法のメガネ』を手に入れること」なのだと感じます。
人がより良く生きようとする想いは、時代を超えてバトンタッチされています。
親や教師ができるのは、テストの点数を取らせること以上に、「知識がつながる面白さ」「世界が広がる感動」を一緒に面白がることではないでしょうか。
「学ぶって、昔と今をつなぐタイムトラベルみたいなものなんだよ」
そんな風に語り合える家庭や教室でありたいなと思います。
みなさんは、過去の学びが「今」につながって感動した体験はありますか? ぜひコメントで教えていただけたら嬉しいです。


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