【第2回】子どもの暴言にどう対応する?学校現場で教員が徹底している「絶対に流さない」と「理由を聞く」2つの原則

子育て

前回の記事では、子どもが「うざい」「死ね」といった暴言を吐く背景には、脳の発達段階(前頭前野の未熟さ)だけでなく、スポーツチーム等の環境、学習面でのつまずき、下のきょうだいの誕生など、「心が満たされていないSOS」が隠されているというお話をしました。

理由や背景は分かったけれど、いざ目の前でひどい言葉を投げかけられたとき、親としてどう動けばいいのか悩んでしまいますよね。

「カッとなって怒鳴り返してしまう」 「傷ついて何も言えなくなってしまう」 「スルーした方がいいのか、厳しく叱るべきなのか分からない」

今回は、暴言が出たその瞬間に大人がどう対応すべきか、私自身が学校現場で徹底している2つの初期対応の原則と、ご家庭でできる具体的な関わりのポイントをお伝えします。

1. 教員が現場で徹底している「2つの初期対応」

学校という集団生活の場でも、子ども同士や大人に対して暴言が飛び出す瞬間があります。そんなとき、私たち教員が最初に行う対応はシンプルですが、非常に重要です。

原則①:絶対に流さず、その場でストップさせる(行動の否定)

子どもが暴言を吐いたとき、絶対にやってはいけないのが「見過ごす(流す)」ことです。

言葉の暴力は、相手を深く傷つける行為です。「まだ子どもだから」「反抗期だから」とスルーしてしまうと、子どもは「この言葉を使っても大丈夫なんだ」と誤った学習をしてしまいます。

そのため、暴言が出た瞬間は、感情的に怒鳴り散らすのではなく、「その言葉は使わないよ」「人を傷つける言葉だからストップね」と、低いトーンで毅然と伝えて制止します。

怒鳴る必要はありませんが、「ダメなものはダメ」という境界線をその場でピシッと引くことが第一歩です。

原則②:落ち着いたら、必ず「その言葉を使った理由」を聞く(感情の受容)

暴言をストップさせた直後は、子どもも脳が興奮状態にあります。そのため、少し時間を置いて子どもの興奮が冷めたタイミングで必ず「理由を聞く」ステップに入ります。

ここで大切なのは、「暴言という手段(行動)」と「その奥にある理由(感情)」を分けて考えることです。

  • 暴言(行動) =「人を傷つけるからダメ」と毅然と否定する
  • きっかけ(感情) =「何が嫌だったの?」「本当はどうしたかったの?」と耳を傾ける

「暴言を吐いたこと」自体は注意しても、その裏にあった「悔しかった」「勉強が分からなくて情けなかった」「自分の話を聞いてほしかった」という感情まで否定してはいけません。

「そうか、テストの点が悔しかったんだね」「弟ばかり可愛がられて寂しかったんだね」と背景にある気持ちを聞き出し、受け止めてあげることで、子どもは「言葉の選び方は間違っていたけれど、自分の苦しい気持ちは分かってもらえた」と安心できます。

2. 【リアルなきっかけ別】家庭で意識したい関わりのポイント

前回の記事でご紹介した「暴言のリアルなきっかけ」に合わせて、ご家庭で意識すると効果的な関わりの工夫をまとめました。

① 「学習のつまずき・劣等感」が背景にある場合

授業についていけず、「バカ」「うざい」と暴言を吐いてプライドを守ろうとしている子には、言葉遣いだけを責めても解決しません。 落ち着いているときに「勉強でどこか難しいところがある?」「一人で抱えなくて大丈夫だよ」と、つまずいている根本的な困りごとに手を差し伸べてあげることが暴言を減らす近道になります。

② 「弟妹が生まれたり、友人関係の変化による不安」の場合(承認欲求)

暴言を吐いたときばかり親が強く反応していると、「暴言=親の注目を引く手っ取り早い手段」になってしまいます。 暴言が出たときは淡々と制止し、逆に普段の生活の中で「いつもお手伝いありがとう」「一緒に本を読もうか」と1対1の時間を意識的に作り、良い行動に注目して認めることで、「強い言葉を使わなくても自分を見てもらえる」という安心感が育ちます。また、友人関係の変化に関しても、まずはお話を聞いてみましょう。親が受け止めてくれるという安心感があると、学校での友人との関わり方にも余裕が出てくると思います。また、担任に先生に状況を伝え、学校の様子を見てもらうようにお願いしたもいいでしょう。友人関係は思い通りにならないこともあります。それを乗り越えられるように親が安全基地になれるといいでしょう。

③ 「スポーツチームなど環境の影響」で使っている場合(かっこつけ・麻痺)

周りの大人や先輩の言葉を真似している場合は、親が大げさに取り乱すと、かえって面白がってエスカレートすることがあります。 反応しすぎず、静かに「家ではその言葉は悲しくなるから使わないでね」と冷静にルールを伝え、感情的に煽らない対応が効果的です。あまりにも環境が過酷な場合は、所属するチームの見直しも検討してあげてください。

④ うまく気持ちを言葉にできない場合(感情表現の練習)

脳の「前頭前野」が発達途中の子どもは、イライラしたときに「うざい」以外の言葉が咄嗟に出てきません。 落ち着いている時間に、「『うざい』じゃなくて『今は1人にさせてほしい』って言えると伝わるよ」「『嫌だ』って言ってもいいんだよ」と、適切な言い換え(感情の言語化)を一緒に練習してあげることが最大の助けになります。

3. まとめ:「行動の否定」と「感情の受容」をセットにする

子どもが暴言を吐いたとき、親として大切なのは以下の2つの軸をブレさせないことです。

  1. 言葉の暴力は絶対に流さず、毅然とストップさせる(行動の修正)
  2. 暴言の奥にある「悔しさ」「困りごと」にはしっかり耳を傾ける(感情の受容)

「暴言はダメ!」と突っぱねて叱るだけでは、子どもは心の中に満たされない不満を溜め込み、別の形で破裂します。逆に、暴言をそのまま受け入れて流してしまっては、社会で必要な人間関係のルールを学べません。

「行動はダメだと教え、感情は丸ごと受け止める」。この2つをセットで対応することが、子どもの感情コントロール力を育てる鍵になります。

次回予告(最終回)

次回は最終回です。

毎日学校という「頑張る場」でプレッシャーや緊張と戦っている子どもたちに対して、「家庭だからこそできる最高のケア」と、元教員として保護者の皆様へどうしても伝えたいメッセージをお届けします。

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